Sing With mooki! ~breathing~
〜ふつうの呼吸のお話〜
これからは数回にわたって呼吸のお話をしたいと思います。
音楽を演奏するとき、それがどんな楽器であれ、実際、呼吸とは
関係ないと思われるような楽器であっても、必ず呼吸と共にあると思います。
歌の場合はとても密接…というよりも、もはや、それ自体が歌だとさえ感じます。
息を吸う時、吸気の長さは音楽のリズムとともにあり、吐く時はどのように空気を
出して行くか、が出す音階、音量、音質などに影響してきます。
…がその前に、通常の呼吸の仕組みを簡単にお話しておきます。
これからお話することは『そんなこと、解っとるわーいっ!』と
お叱りを受けるほど当然な内容かもしれませんが、この普通の呼吸の話をして
おかないと、歌う呼吸の話のとき、比較基準がなくなってしまうので、
どうかおつきあいください。
上の図は呼吸の仕組みを風船と器で例えてみたものです。
風船:肺
周りの器:肋骨(底辺は横隔膜)
緑の矢印:空気の流れ、運動、エネルギーの方向
(肺は実際は大きく右と左、ふたつにわかれていますが、
なるべく単純にして説明するため風船1つにしています。)
●図の左の絵は吸うときの様子です。
息を吸うと肺に空気が入り、肺が全方向に膨らみます。
肺の周りを囲んでいる肋骨も外側へとひろがって動いていきます。
横隔膜も肺に押されて下へと広がります。
●図の右の絵は吐くときの様子です。
息を吐くと空気が体から外で出て行き、肺が縮まります。
肺の周りを囲んでいる肋骨も内側へと戻って行きます。
ね?あまりに普通の話で腹がたつでしょ?
もっと歌の為になるようなことを書いていると期待された方
ごめんなさい。歌に必要な複式呼吸だとか、空気をお腹に入れる方法とか…ねぇ。
空気をお腹に入れる…?
歌のレッスンを受けられた方なら、こんな表現で指導をうけたことが
あるかもしれません。…が、どうあがいても、
空気は肺にしか入りません。お腹には入らないです。
もし、この表現を聞いたことがある方は
空気をお腹に入れる(ようなイメージでたっぷりね♥)
の、この(…)の隠された言葉を『君と私の関係なら言わなくてもわかるでしょ?』
という愛のメッセージにして指導される方が送りたかったのかもしれませんが……。
いずれにしても、空気はお腹には入りません。
次回は歌う呼吸の前に簡単に声がでる仕組みをお話します。
(バックナンバーは右横のカテゴリーからSingingをクリック!)